松本清張『留守宅の事件』
松本清張「留守宅の事件」
ドラマ版は古谷一行、内藤剛志、余貴美子、洞口依子、芳本美代子。
演技力も確かで、華のある俳優陣。
終盤の内藤剛志の台詞が凄い。
表情を複雑に歪ませた後に、ドラム缶の上に置かれたある物を払いのける。
「二階」という傑作短編があるが、その男女逆版のようでもある。
古谷一行の最後の台詞も良い。
金田一耕助役もそうであるが、古谷一行は主演であっても、2番手で出演する俳優が犯人役である場合は、出過ぎない演技をしている。
犯人役の俳優が、実質的な主演であるケースが多いから。
以下、原文より抜粋。
以下、原文より抜粋。
「交番の巡査は、事件捜査記録の『証人尋問調書』のなかに通報を受けたときのことを述べている。
『問
君は何時から西新井警察署勤務となり、また大師前派出所勤務となったのは何時か。
答
私は昭和四十二年九月から西新井警察署勤務を命ぜられて一昨年十一月中旬ごろから大師前派出所詰めとなったのであります。
問
本年二月六日、西新井×丁目××番地、栗山敏夫より同人妻宗子が殺害されたと訴え出たのを受けた状況を詳細に述べよ。
答
二月六日午後六時半ごろでありました。
私は休憩時間に相当しておりましたので、所内の見張所の時計のところに腰掛けて見張勤務中の山口巡査と相撲の話をしておりましたら、一人の男が参りまして、山口巡査に向って『勤めから帰ったら、ぼくの妻が殺されていましたからすぐ来て下さい』と云ったので、
山口巡査が『どうして殺されたのか』と訊ねましたら、
『家の裏の物置小屋に横たわっている。
どうして殺されたのかよくわからないが、とにかく殺されています』と申しました。」
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