松本清張『Dの複合』

ドラマ版はいしだあゆみ、平幹二朗、津川雅彦、野村宏伸、森口瑤子、石丸謙二郎。
 いしだあゆみは、ドラマの核心の役ではないのが勿体ない。
さすがにファッショナブルで、ご存命ならば「プラダを着た悪魔」みたいな役を演じて頂きたかった。
 野村宏伸がこのような役を演じたのを初めて見た。
爽やか好青年のイメージでよく見ていたので、意外な好演。
小顔で手脚が長くて、今で言う竹内涼真か。
森口瑤子は大変に美しいが、エキセントリックな女性の役。
豊川悦司と交際の噂もあったな。

以下、原文より。
「午後三時五十三分、列車は、といってもディーゼル車だが、天橋立駅を西に少し向かって離れた。
十月二日の、秋のはじめにしては少し涼しすぎる曇り日であった。
どうしてこんなこまかい時間に伊瀬忠隆が注意を払ったかというと、
列車がホームを動き出したとたんに、彼が腕時計に眼を落としたからである。
といって、売店の上に位置した駅の電気時計と、自分のインターナショナルの針と見くらべたわけではない。
つまり、退屈だったのだ。
彼は小さなあくびをした。
京都から乗って、綾部でもいっしょに乗り換えた乗客の半分は、天橋立駅で降りてしまい、
車両がにわかに空いてしまったので、退屈感も増し、さらにこれからもっと田舎に行かなければならぬといううらぶれた感じにもなった。」
Dの複合


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